14世紀にペストが猛威を振るって「黒死病」と呼ばれた時代の後にはそれを題材としたジョヴァンニ・ボッカッチョの『デカメロン』が生まれ、19世紀のコレラ流行の後にはエドガー・アラン・ポーの『赤き死の仮面』が書かれ、世間を大きく揺れ動かした事件の後には何かしら文学作品などに影響が見られます。
2019年12月に中国・武漢で最初の流行が報告されたものの、それにSNSで警鐘を鳴らした医師が「虚偽の発言」をしたと警察に拘束されてネットから消え、WHOは対策チームを設置したものの緊急事態宣言は時期尚早と判断し、3月11日のパンデミック宣言に至るまでテドロス事務局長が中国からの入国制限は不要であると主張している間に旧正月で世界的な大移動があって2021年9月までに感染者数2億人、死者450万人超えという惨禍をもたらしたcovid-19ですが、ウェブ小説界隈ではどうでしょう?
『ふつおたはいりません!』 結城十維(2018)
アラサー声優の吉岡奏絵と、売れっ子声優の佐久間稀莉の2人は病気やら恋愛問題やら紆余曲折ありながら、2人がパーソナリティーを務めるラジオ番組『これっきりラジオ』を中心に充実した日々をおくっていたが突然の疫病蔓延。これからが勝負だと進めていた企画も流れ、番組収録も中止で過去分の再放送。声優仕事も個別収録が増えて勝手が分からないというか戸惑うことばかり。やっと『これっきりラジオ』の収録も再開されたが、それは自宅からのリモート収録。問題は奏絵と稀莉が同居しているということだった……。
コロナ禍での閉塞感を描きながら、そこからもがきながらも前に進む2人(とリスナーやスタッフたち)の物語が語られます。
『異世界帰りの大賢者様はそれでもこっそり暮らしているつもりです』 木野二九(2019)
魔王を倒して異世界から帰還してみれば20年近く経過していて、文化も風俗もまったく変わってしまって高校生と話が通じないし、スマホなんて見知らぬ機械が普及しているし……。
例のウィルスのせいでズタボロになった観光地の商店街を主な舞台にした物語。作者が岐阜出身で、舞台になった商店街は「徹夜踊りくらいしか売りのない観光地」だというから郡上八幡でしょうか。
『砂漠の国の、引きこもり』 猫の人(2021)
物産展への爆弾テロで死んでしまった人々に神は選択肢を与えた。このまま輪廻転生するか、それとも救済のためのギフトを与えられた上でモンスターに脅かされる世界を救うために転生するかというのである。バツイチの会社員、新庄祐は異世界への召喚を選ぶが、他人と関わりたくない新庄は、人があまり来ないだろう砂漠を選んで降り立った……。
コロナ禍でイベントを開催するなど許せないと爆弾が仕掛けられたところから話が始まります。狂人の理屈は理解しがたいですが、実際、コロナ禍での他人の言動には情理では理解できないものが多いので、そういう意味でもリアルな導入部です。
このあたりの時代を扱いながらそんなことはなかった……で進めていく話と、時代背景として言及されるものと、がっつり作品のテーマに関わるものと、ぼつぼつ見つけながら拾っていく予定。
メメント・モリ(死を忘れるな)。
2019年12月に中国・武漢で最初の流行が報告されたものの、それにSNSで警鐘を鳴らした医師が「虚偽の発言」をしたと警察に拘束されてネットから消え、WHOは対策チームを設置したものの緊急事態宣言は時期尚早と判断し、3月11日のパンデミック宣言に至るまでテドロス事務局長が中国からの入国制限は不要であると主張している間に旧正月で世界的な大移動があって2021年9月までに感染者数2億人、死者450万人超えという惨禍をもたらしたcovid-19ですが、ウェブ小説界隈ではどうでしょう?
『ふつおたはいりません!』 結城十維(2018)
アラサー声優の吉岡奏絵と、売れっ子声優の佐久間稀莉の2人は病気やら恋愛問題やら紆余曲折ありながら、2人がパーソナリティーを務めるラジオ番組『これっきりラジオ』を中心に充実した日々をおくっていたが突然の疫病蔓延。これからが勝負だと進めていた企画も流れ、番組収録も中止で過去分の再放送。声優仕事も個別収録が増えて勝手が分からないというか戸惑うことばかり。やっと『これっきりラジオ』の収録も再開されたが、それは自宅からのリモート収録。問題は奏絵と稀莉が同居しているということだった……。
コロナ禍での閉塞感を描きながら、そこからもがきながらも前に進む2人(とリスナーやスタッフたち)の物語が語られます。

魔王を倒して異世界から帰還してみれば20年近く経過していて、文化も風俗もまったく変わってしまって高校生と話が通じないし、スマホなんて見知らぬ機械が普及しているし……。
例のウィルスのせいでズタボロになった観光地の商店街を主な舞台にした物語。作者が岐阜出身で、舞台になった商店街は「徹夜踊りくらいしか売りのない観光地」だというから郡上八幡でしょうか。
『砂漠の国の、引きこもり』 猫の人(2021)
物産展への爆弾テロで死んでしまった人々に神は選択肢を与えた。このまま輪廻転生するか、それとも救済のためのギフトを与えられた上でモンスターに脅かされる世界を救うために転生するかというのである。バツイチの会社員、新庄祐は異世界への召喚を選ぶが、他人と関わりたくない新庄は、人があまり来ないだろう砂漠を選んで降り立った……。
コロナ禍でイベントを開催するなど許せないと爆弾が仕掛けられたところから話が始まります。狂人の理屈は理解しがたいですが、実際、コロナ禍での他人の言動には情理では理解できないものが多いので、そういう意味でもリアルな導入部です。
このあたりの時代を扱いながらそんなことはなかった……で進めていく話と、時代背景として言及されるものと、がっつり作品のテーマに関わるものと、ぼつぼつ見つけながら拾っていく予定。
メメント・モリ(死を忘れるな)。