
スコーン・カレッジの食料品貯蔵室の用度係のヘンリーの言葉。
70年代末から80年代にかけてサンリオSF文庫なるものが刊行されていました。
キティちゃんに代表されるメルヘンとファンシーが売り物のサンリオがSFですよ。10年足らずで終わってしまった理由が、高すぎたせいとはいうけれど、当時はハヤカワもサンリオも1冊360円くらいでどっこいどっこい。訳が悪かったともいうけれど、誤訳は他のレーベルでもいくらでもありました。やはり、先発の創元やハヤカワと差別化を図ったのか、あまりにもマイナーでマニアックなラインナップのせいだったのでしょう。
ゼラズニィとフィリップ・K・ディックが多かったのはともかく、SFといっておきながら、当時流行りのスペキュレイティヴ・フィクション(思弁小説)までSFの範疇にひっくるめたのか、SFだかファンタジーだか怪奇小説だか純文学だかなんだか分からない物までてんこ盛り。高校の図書館に入っていた『手で育てられた少年』なんて著者こそ英国ニュー・ウェーブの代表作家のブライアン・W・オールディスですが、内容はホレイショ・スタブズという少年が18歳になるまでの性の遍歴を描いた自伝的小説。SFじゃねーよ!という生徒の声に気づいた司書の手によって、閉架書庫へ移動させられてしまいます。
連続強姦事件が発生する。
犯人はゴムのマスクをかぶり、山羊のような臭いのする男。伝説のけもの男か、はたまた悪魔主義者か?
盗品売買も生業とするチャーリー閣下だが、友人の妻たちが次々に被害に遭い、やがてジョアンナにも魔の手が伸びるとなれば、解決に本腰を入れざるを得ないというものであった……。
そんなサンリオSF文庫だけに、『深き森は悪魔のにおい』もサイコ・オカルトミステリの皮を被ったブラックユーモア・ピカレスク。怪しい美術商“チャーリー・モルデカイ閣下”が、飲んだくれのスナイパー・チャーリー、片目の用心棒ジョック、美人妻ジョアンナを相棒に事件に挑むミステリ。どこにSFがあるんだ!?といえば、彼の作品群には1作だけSF短編があるんだって。
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