「創作物は基本的に全部嘘だよ。でも作り話だからこそ真実以上の力を持つことだってある。受け手の心を揺さぶることができれば、虚構は真実にだって負けないんだ」木崎ハルは佐藤ナオトに、経験したことがなくても想像で補えると言い切った。
落としたノートに描いてあったマンガを同級生女子、木崎ハルに読まれてしまった。小学生の頃、想いがほとばしる勢いのままに描き上げたマンガだったが、高校生になってもそれを超える作品をナオトは生み出すことができない。しかし、そのハルが「きみのマンガ、映画化決定ね！」と言い出すとは思ってもいなかった。
ハルは有名な映画祭にも入選したアマチュアでは有名な映画監督。彼女の「映画化決定」は本気だった。
最初は断るつもりだったナオトだが、次第にハルの勢いに押し負けていき、ついには幼なじみの堀井杏奈と共に映画制作に関わることになってしまうのだが……。
天才女子高生監督の勢いに引き込まれていく、マンガ家志望の高校生男子の物語で、創作の情熱と登場人物それぞれの想いが紡がれつつも解きほぐされていきます。
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