
「美味しい物を食べて人生を楽しみたい人はドイツのパンなんて食べませんよ!」
椎の家のパン屋は不統一感の塊だ。フランス語の店名が付いた店内では、父親がドイツのパンを売るベーカリーと母親のアメリカンダイナーのカフェの真ん中で、娘がエスプレッソマシンを動かしている。
カブは好きだけれど、それが人生のすべてというほど入れ込んでいるわけじゃないし、バイク好きはすぐに「風になる」とかいうけれど、南アルプスの麓に吹く風は日に日に冷たくなっていくのだ。防寒対策だってタダではできない。
小熊がスーパーカブを買って数ヶ月。季節は冬になり、指はかじかみ、エンジンはかかりにくくなる。けれど、寒さに負けて停滞していたら、小熊と礼子の心は確実に錆付き、朽ちて死ぬ。
小熊にとって最初の冬が始まった……。
少女たちとバイクの、厳しく楽しい冬の物語で、サンドイッチとコーヒーが美味しい2巻。
少女2人といいつつ、一匹狼が2頭という感じで、いろいろスゴく協調性ないです。予算と実用性第一の小熊に対して、こだわりのファッション優先の礼子。前カゴに詰め込む小熊に、後部ボックスに詰め込みたい礼子。けちけち細かい小熊に、大雑把で遠慮のない礼子。でも、仲は悪くないんですよね。
地味な青春小説だけれど、面白かったから売れて欲しいなあと思っていたら2巻が出ました。すごいなあ。良かったなあ。面白い本が売れるって嬉しいよね。
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