
ハリスはそう言ってゼークトを送り出した。
ダンジョン攻略にはかかせない斥候(スカウト)職も、ただの盗賊(シーフ)と一緒くたにされがちで疎んじられがちで、斥候も盗賊もひとまとめにされて官憲に取り締まられることもしばしば。一仕事こなしてちょっとした資金を手に入れた冒険者のハリスも、金はあっても高級娼婦からは相手にされず、呑んだくれた末に有り金はたいて奴隷を買ってしまうが、酔いが冷めた目で見ればそこにいたのはガリガリの傷だらけで抱く気にもならないし、冒険の手助けになるとも思えない少女だった。
返品不可となって、少女を仕方なく飼うことにしたハリスだが、奴隷の少女ティアナからしてみれば自分を性的に見ることもなく、きちんと衣食住を保証してくれるハリスはとてつもなく良い人でしかなかった……。
奴隷少女との出会いから始まる、やさぐれ盗賊の「再生」の物語。
ある種の「押しかけ女房」もので、世話焼きで人づきあいの巧い少女との同居生活によって、生活環境は改善され、町の人々との関係も良好になり、そもそも腕は確かで聖騎士とのつきあいもあるハリスなので次第に状況が上向いていきます。つまり、見た目がしっかりしていて、ちゃんと宣伝されることで人間の評価なんて簡単に上向きになるってことなのだ。逆もしかり。
で、これがどこまで上向きになるのかとか、その過程で冤罪騒ぎとかいろいろ厄介ごとも抱え込んでの顛末などが語られていきます。
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