
万千代は御家騒動を避けるため、18歳を機に脱城して出奔。道中で知り合った娘、津絵と共に江戸の町に出てきたのだが……。
弓でも刀でも腕は立つが世間知らずの若様が、江戸の町でやくざの三ン下になったり魚屋の下働きでこき使われたりしながら、行く手に立ちふさがる敵を粉砕していく人情活劇の連作短編集。
いろいろ理屈はこねても「バカにつける薬はない」と一蹴され、「おまえさんのいうことは、よくわかる。しかし、そんな理屈は世間に通るものではない」と無視されて大乱闘というタイトル通りの「大名」というより「お殿様」です。
「きょうは水戸街道も、日本晴れである」
こんなテレビドラマの時代劇で本当に終わる小説は初めて読んだよ。
宗堯卿の息子、長男の春千代(後の宗翰)と次男の万千代(後の頼順)という設定なので、水戸藩四代藩主の徳川宗尭の時代の話らしいけれど、今はウィキで簡単にチェックできるのですけど、宗翰は第五代藩主で徳川宗堯の次男。頼順は宗堯の庶長子で家督は継がず分家したけど、子供が早世したため2代で断絶……とか知っちゃうと、時代劇は史実を知ったら面白くなくなるよねーと反省。
【わんぱく大名】【陣出達朗】【春陽文庫】