
人狼災禍の最中、踏みとどまり物流を維持したクイド商会の会頭の言葉。あの小銭をちょろまかしていた行商人が立派になったもんです。
目的のためには手段を選ばず、すべて勢いで押し切るという意味でアッシュとマイカは似たもの同士である。
そしてマイカはついに目的を達成、アッシュを手に入れた。領地の人々が、軍子会の仲間が集まり、2人を祝福する。
「アッシュがあたしを堕とすのは簡単だったんだよ。でも、あたしがアッシュを落とすのはとっても難しい」
みんながマイカを祝ってくれるのは、単に彼女が人気者だからではなく、大きな困難を乗り越えたからだとマイカは言うのだ。
マイカは目的を達成した。あとはアッシュが、失われた文明を復興するという目的に邁進するだけだ。当面の課題は爆発する星形エンジン、跋扈する人狼や竜、そして隣領のヤソガ子爵を使ってサキュラ領内に動乱を起こそうとするダタラ公爵である……。
マイカ嬢の男前っぷりが発揮される6巻。
アシモフのファウンデーション・シリーズって、帝国が滅びても文明までが消えさらないよう銀河百科辞典を編纂して知識を集積しておこうという話だったけれど、その編纂者のファウンデーションを作るまでは書き込んでいても復興の過程は案外と端折ってるんですね。この話は逆に「滅びた文明の遺産である書物を解析し、そこから得た知識を現行の社会に落とし込んでいく」話なんです。
太古の人々は後の人々のために本として記録を遺し、今の人々はそれを読み解くことで命を繋ぎ、さらに自分たちの試行錯誤を本として記録に遺して100年先の未来へと繋いでいく、まさにタイトルまま。本を通じて受け継がれていく文明への想いの物語なのです。原典版でいうと第6章にあたる「破滅の炎」まるまるに主人公以外からの視点を交えて収録していますので、大幅な加筆がなければ次巻あたりで本編完結しそうです。読み始めるなら今がチャンス!
【フシノカミ6~辺境から始める文明再生記~】【煉理の火翼(編纂版)】【雨川水海】【大熊まい】【オーバーラップノベルス】【世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚】【内政ファンタジー】【小説家になろう】【不死鳥要塞】【いいともー!】